スタジオジブリ宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』で登場する謎の生き物「ワラワラ」。
その独特な見た目や動きに、観客からは
「ワラワラの正体とは一体何?」
という疑問が数多く寄せられています。
本記事では、この「ワラワラ」について、映画内での役割や、その正体について徹底的に考察していきます。
『君たちはどう生きるか』「ワラワラ」の正体とは?

「ワラワラ」の正体。公式回答は
「ワラワラ」の正体については、公式がガイドブックにて以下の通りズバリ回答していました。
「キリコが捕ってきた魚のはらわたを滋養にして繁殖している生き物。
月の輝く夜に天へと昇っていき、人間として生まれるという」
映画を見たならば、ワラワラが人間の魂をモチーフに描かれているということは、想像の及ぶところだと思いますが…
(ワラワラが魚のはわらたを滋養にし、お腹いっぱいになると飛び上がり、上の世界で人間に生まれ変わる、ということは、キリコが映画の中でも説明していましたね)
その繁殖方法が魚のはらわたを食べることであるというのは、ガイドブックを読んで初めて分かることです。
ワラワラの名前の由来

ワラワラしているから
ワラワラの名前は、絵コンテに、
「白いまるいものがワラワラとついてくる」
「ワラワラしてる」
と記載がある通り、ワラワラしていることに由来しているようです。
ワラワラの他、ワタワタというネーミングもぴったりで、かわいいと思いませんか。
漢字を付けるならば、やはり笑笑ですかね。
常に能天気なかわいい表情をしているので、ピッタリです。
「ワラワラ」の正体を考察
考察①ワラワラは想像上の産物だから塔から出られない?

ワラワラは、人間の生まれ変わる前の姿として描かれています。
しかしワラワラが本当に人間に生まれ変わる前の姿であるというのであれば、崩壊する塔から脱出しなかったというのは、中々悲しくないですか。
インコやペリカンが脱出することができたのに、ワラワラはなぜ脱出することができなかったのか。
思うに、インコやペリカンは、大叔父様によって下の世界へ連れてこられた存在ですが、ワラワラは、あくまで大叔父様の想像の産物だったからのように思えます。
大叔父様に創造されたものは、大叔父様が創造した世界にしか存在できない、という理屈です。
例えば、インコに掛けられた魔法も、下の世界から脱出すると同時に解けていました。(インコは魔法によってあの鳥人間のような姿になっていたそうです)
つまり、ワラワラはいかにもファンタジーですが、そのからだ全てが魔法で創られているようなものなので、たとえ外に出られたとて、無に返るだけだったのかもしれません。
まひともヒミもキリコも、物語が進むにつれ、そういうこと(下の世界がかりそめだということ)は、なんとなく感じていたように思えます。
だから、誰もワラワラのことを心配していなかったのではないでしょうか。
考察②ワラワラは無垢な生命の象徴?

大叔父様はなぜ、ワラワラを創ったのでしょうか。
思うに、大叔父様は悪意のない世界を創りたくて、無垢の象徴のようなワラワラを生み出したのではないでしょうか。
ワラワラは、大叔父様の理想と、(人間の生まれ変わる姿があったとしたらば、こんな感じだろう)というイメージから創られた生き物なのではないでしょうか。
ワラワラの、霊や魂を連想させるような見た目、ピュアな赤ちゃんのような表情や性格、DNAのような螺旋を描いたり、月が輝く夜に上昇していったりする性質は、いかにも人間が思い付きそうな発想です。
※科学的根拠はないものの、満月や新月の夜には、出産が多くなるといわれています。
考察③ワラワラは本当は人間には生まれ変わらない?

ワラワラが大叔父様が創ったものならば、ワラワラの、人間に生まれ変わる、という設定も、本当かどうか疑わしいものです。
その設定も、大叔父様の願望だったように思えます。
公式もそうだとは言い切っていないですし、作中に、ワラワラが本当に人間に生まれ変わるという確信の持てる描写はありません。
ワラワラは本当は人間には生まれ変わらないというのであれば、老ペリカンの、どれだけ高く上がっても、また同じ島に辿り着く、という台詞も腑に落ちます。
考察④キリコも上の世界からやってきた?

これまでの考えからいくと、キリコは「ずっとここにいる」と言っていますが、それでは、矛盾が生じます。
キリコは最後塔から脱出しましたから、上の世界から来たのでなければ、辻褄が合わなくなります。
しかし、ずっと、というのも曖昧な表現です。
あるいはキリコは、ずっとここにいた気になっているだけなのかもしれません。
夢の中のように、です。
沼頭にやられたと言っていたキリコの傷は実は悪意の印で、やはりまひとと同じように、下の世界に迷い混んだ過去があるのかもしれません。
『君たちはどう生きるか』「ワラワラ」が象徴するものを考察
考察①自然の摂理、食物連鎖

ワラワラが魚のはらわたを食べて繁殖するように、ワラワラは人間の生まれ変わりというより、食物連鎖に入る生き物として、描かれているように思います。
視聴者は、ワラワラのそのかわいい見た目であったり、人間の生まれ変わりという設定から、例えばまひとのようにペリカンよりワラワラに感情移入して映画を観るはずです。
しかしワラワラもペリカンも、生きる為に補食している点では、やっていることは同じです。
まひとは老ペリカンとの出会いでそれに気が付き、老ペリカンを葬ってあげました。
考察②平和への願い

主観的な視点を持ってものを見たとき、何がかわいそうで、何が正しくて、何が悪なのか決まると思います。
これを改めて考えると、ばつが悪いと感じませんか。
そしてこれは、戦争にもいえることだと思います。
映画「君たちはどう生きるか」は戦時中を舞台に描かれた作品です。
宮崎駿監督自身、太平洋戦争を体験されていることもあって、平和への願いは、当然こめられていたのではないでしょうか。
異国から連れてこられたペリカンは、敵対国だったとも受け取れます。
そう考えると事の発端は、大叔父様が自らの帝国を築き上げようと、ペリカンを連れてきたことにあります。
自然の摂理に逆らわないこと、それが、みんなが一番平和でいられることなのではないでしょうか。
考察③精子や卵子
視聴者から多く上がっていたのが、ワラワラは精子や卵子であるという考察です。
選ばれし者のだけがこの世に生を受けるという奇跡や命の尊さを、ワラワラらは教えてくれているようです。
『君たちはどう生きるか』「ワラワラ」がかわいい!映画鑑賞者の反応
SNSやレビューサイトでの反応を見ると、観客はワラワラについて以下のような感想を抱いています。
「君たちはどう生きるか」のワラワラっていうキャラクターが可愛すぎて今日一目惚れした、可愛くない?????
https://x.com/kn__929/status/1813172796782215628
君たちはどう生きるか ワラワラが地上へ登って行くシーンで涙が出た。この世の残酷さを何も知らずに生まれてしまう命の悲しさと愛しさ。
https://x.com/utu_semi_25/status/1749424891487723700
「ジブリらしい神秘的な生き物。心に響いた」「君たちはどう生きるか」のワラワラ。可愛いんだけどジブリ(宮崎駿)にしては普通に可愛くてつまんねぇな…と思ってしまったんだけど、可愛くて庇護欲を掻き立てられるものが時には運命の元、無情に食べられ消えていくっていうのもあるのかな。
https://x.com/sui_2m/status/1692491959481557044
君たちはどう生きるか、珍しく彼女と意見が真っ二つに割れたけど「わらわらのキャラデザもっとがんばれただろ」という点では一致した
https://x.com/erickblessyou/status/1684175453815439360
幅広い感想を紹介しましたが、「とにかくワラワラがかわいい!」「グッズ買う!」という感想が圧倒的に多かったです。
『君たちはどう生きるか』「ワラワラ」の正体とは?結論
ワラワラの正体は、公式によると、次の通りです。
・キリコが捕ってきた魚のはらわたを滋養にして繁殖している。
・月の輝く夜に天へと昇っていき、人間として生まれるといわれている。
これ以上となると、明確な公式情報はなく、解釈は観る人それぞれに委ねられています。
ワラワラの姿は、まるで精霊や神秘的な生き物を思わせますね。
宮崎駿監督がこれまでの作品で描いてきた『もののけ姫』のコダマや『千と千尋の神隠し』のススワタリに通じるものがあります。
また、ジブリ作品に共通する自然への敬意のようなものを感じますね。
ワラワラは、ジブリ作品ならではの奥深さと魅力を持つキャラクターです。
映画を鑑賞する際には、ぜひ「ワラワラ」があなた自身にとってどのような意味を持つのか、考えながら楽しんでみてください。
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