「火垂るの墓」は、戦時下の兄妹の過酷な運命を描いた、スタジオジブリの名作アニメーション映画です。
しかし、地上波での放送は禁止されているのか、放送されない上に、しばしば一部のシーンがカットされることが話題になります。
特に有名なのが、“包帯のお母さんとウジ虫”のシーンです。
本記事では、
- 包帯のお母さんとウジ虫のシーンがなぜカットされ、放送されないのか
ということについて、解説していきます。
地上波で放送禁止!?放送されない“包帯のお母さんとウジ虫”のシーンとは?(火垂るの墓)
「火垂るの墓」の物語前半、主人公・清太と、妹・節子は、空襲によって母親を失います。
母親は全身に大火傷を負い、病院代わりの小学校に運ばれますが、十分な治療を受けられるはずもなく、そのまま亡くなります。
※以下、“包帯のお母さん”と、“包帯のお母さんにウジ虫がわく”シーン”の画像が出てきます。
地上波でカットされたシーンを見る、という方のみ、このまま読み進めて下さい。
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それでは、地上波では放送されない、お母さんのシーンを紹介していきます。
放送されないシーン①包帯姿のお母さんと再会するシーン
まずは、包帯ぐるぐる巻き姿になったお母さんが出てくるシーンから。
清太は、おじさんに連れられ、負傷者が運ばれる病院内で、お母さんと対面します。

お母さんは全身にひどいやけどを負っていて包帯が巻かれており、ところどころに血が滲んでいて、観るにいたたまれない状態になっていました。
お母さんの寝息が、いとしく、聞いていて辛いです。
清太がお母さんに会いにいくまで、状態の悪い負傷者が何人も映りましたが…▼

視聴者に(良かった、お母さんではなかった)と思わせておきながら、お母さんはまさかその誰よりも状態が悪かったのですから、むごく、してやられた気になります。
おじさんの清太を案内する声も、たんたんとしていたので、まさかお母さんがそんな危ない状態だったとは思わせません。
(悲しいことですが、おじさんには、こういうことに、とっくに耐性がついていたのでしょう)
「今ようやく寝はったんや」とおじさんは苦痛の表情。
パッと見では、包帯の姿になったお母さんは、誰だか分かりません。
ですが清太には、それがすぐ母親だと分かったようで、すぐに悲しい現実を受け止めました。
ですが清太は、お母さんがこのようなひどい有様になっていても、まさかこのまま亡くなってしまうとは、思いもしなかったようです。

「お母ちゃん心臓悪いんですけど、その薬ありますか」とすぐに薬を欲しがりました。
清太は、おじさんがいなくなると、「ようやく眠ったところ」だとさっき説明を受けたにも関わらず、子どもらしくお母さんに「お母ちゃん」と呼び掛けます。
しかし返事はなく、さっきまで聞こえていたお母さんの寝息も、聞こえなくなっていました。
それは、深い眠りについたからなのかもしれません。
ですがお母さんは恐らく、清太の声を聞いて、ああ良かった無事だったのだと安心し、息を引き取ったのではないでしょうか。
(聴覚は、最後まで残るといわれています)
放送されないシーン②包帯姿のお母さんにウジ虫がわくシーン
続いては、みんな大嫌いな”ウジ虫”のシーンです。
お母さんは治療の甲斐むなしく亡くなってしまい、その遺体にはウジ虫が湧き、また、ハエもたかっていました。

このウジ虫のシーンを見て、『裸足のゲン』を思い出したという人も、多いのではないのでしょうか。
お母さんの遺体は焼却するのに運ぶため、担架に乗せられます。
ですが、そのときの動作が、人というよりは、荷を移したかのようなので、観ていて辛いです。
また、お母さんが少し困ったような表情をしているので、観ていて本当に辛くなります。
大好きなお母さんが運ばれていくのをついて見送るしかできない清太の姿も、観ていて健気で、胸に迫るものがありますよね。
カットされて放送されないのも頷けてしまうような、ショッキングなシーンです。
(放送されない?シーン③)火垂るの墓と混同されやすいこんなシーンも
『火垂るの墓』のと混同されることがあるのが、『うしろの正面だあれ』(原作:海老名香葉子、監督:有原誠治)の機銃掃射シーン。


『うしろの正面だあれ』の機銃掃射シーン、火垂るの墓でカットされたシーンだと思い込んでいたことが判明した………(Xより引用)
初回放送の火垂るの墓って、カットされたシーン入ってたな。おじさんに清太がど突かれるときに色がなかったり、機銃掃射に撃たれて近くの人が流血して亡くなってるシーン(Xより引用)
「火垂るの墓」と「後ろの正面だあれ」が記憶の中で混同している人は、割といます。
絵柄も似ていますし、主人公のかよこ子まるで節子に見えないこともないですからね。
「後ろの正面だあれ」で特にショッキングなシーンといえば、かよ子が機銃掃射に狙われるシーン。
かよ子は機銃掃射からなんとか逃れ、一命を取り留めました。
ですが後ろから自転車に乗って逃げてきていたおじさんは違います。
撃たれて、亡くなってしまったのです。
おじさんが倒れ込んだ茂みから、おじさんの手が見えているのですが、その下から血溜まりがみるみる広がってきます。
それを見たかよ子の意識は遠退きます。
この怖いシーンは、多くの人の記憶に強く残っているようですね。
地上波で放送されない“包帯のお母さんとウジ虫”のシーンを観た【視聴者の反応】(火垂るの墓)

これまでに紹介してきた、地上波で放送されないシーンは、観る人にとっては、トラウマ級に悲しく、そして怖いシーンです。
中には、包帯でぐるぐる巻かれたお母さんだけを覚えている、という人も。
その姿は、それ程までに強烈だったのでしょう。
特に子供の頃に観ると、耐性がない分、ショックも強いのかもしれませんね。
もう2度と観たくないという人がいる一方、同じ過ちを繰り返さない為にも、カットせずに放送してほしい、という人の声もあります。
これらの悲劇は、実際に起こったことであり、今後も起こり得ることですからね。
Xより、視聴者の反応を引用して紹介します。
火垂るの墓、放映されたとしても学校のシーン(包帯グルグルのお母さん)と海のシーン(ハエのたかった人)カットされがちなんだよね。
ノーカットでこそあの時代の辛さがわかるんだけどな…
(2024年8月16日)
昔公民館で読んだ「火垂るの墓」のフィルムブックで、空襲の巻き添えになって包帯ぐるぐる巻きにされたお母さんのシーンがあったと思うんですが、テレビでは一度も観たことがないんですよね。
思い違いなのか、カットされてるだけなのか。
(2020年8月7日)
火垂るの墓、母親死ぬ時ウジ虫がばーって死体這ってるシーンなかったっけ
(2013年11月22日)
“包帯のお母さんとウジ虫”のシーンはなぜ放送されないのか(火垂るの墓)

この“包帯の母とウジ虫”シーンが地上波で放送されない理由は、いくつか考えられます。
- 視聴者への配慮
母親の悲惨な姿やウジ虫の描写は、子どもや繊細な視聴者にとってショックが大きい場合があります。そのため、放送倫理上カットされた可能性があります。 - 放送枠の都合
テレビ放送は、CMや番組編成の都合上、尺調整が必要です。その為、過激な描写は省略される傾向があります。 - 時代や放送局の方針
近年は特に、子どもの視聴を意識した編集が増えてきていますよね。その為、戦争や死のリアルな描写を避ける傾向が強まっていることが考えられます。
映画みた後、うなぎ丼食べた時に米がウジ虫に見えて吐いたよね。トラウマ。(Xより引用)
「火垂るの墓」は、国によっては、日本でいうRに指定されるくらい、重たい映画です。
実際、映画を観終わった後で嘔吐してしまった、という人もいるくらいですから、この映画が人によってはどれだけショックを与えるかどうかは、想像できるかと思います。
しかし当時の人は、子供を含め、これらを映像どころか生で見なければいけなかったわけですから、本当に過酷な状況に身を置かれていました。
両親を亡くしたからといって、「辛かったね」と慰めてもらえるわけでもありません。
むしろ孤児になれば厄介者扱いで、孤児院に連れて行かれてしまえば、囚人より厳しいような生活を送るハメになりかねないのです。
小まとめ
ということで、「火垂るの墓」の“包帯の母とウジ虫”のシーンは、戦争の悲惨さや家族の悲劇を象徴する重要な場面です。
がしかし、地上波では視聴者への配慮や放送倫理、放送枠の都合などからカットされることが多かったようですね。
このような編集は、作品のメッセージ性を薄める側面もある一方、幅広い世代に安心して見てもらうための措置でもあるといえます。
“包帯のお母さんとウジ虫”のシーンは放送禁止なのか(火垂るの墓)

結論からいうと、“包帯のお母さんとウジ虫”のシーンは、放送されないことがあるだけで、放送禁止なわけではありません。
- 「火垂るの墓」に年齢制限はありませんし、
- 過去にはカットされずに放送された実績もあります。
“包帯のお母さんとウジ虫”のシーンの直近放送データ
金曜ロードショー公式Xで、“包帯のお母さんとウジ虫”のシーンの直近放送データを確認したところ、次の通りでした。
2013年:母親の包帯シーンなど、一部カット版。
2015年:ノーカット完全版として放送。
2018年:ノーカット完全版として放送。
2025年8月15日放送予定:?
8月15日放送分がノーカットで放送されるかどうかは、現時点では公開されていません。
が、視聴者の期待も高まっているところですので、恐らくノーカットで放送されるものと思われます。
ジブリ映画がここ最近ノーカットで放送されているということもあります。
まとめ:「火垂るの墓」地上波でカットされたシーンは?母の包帯とウジ虫が放送されない理由
- 地上波でカットされたのは主に2つのシーン
- 包帯ぐるぐるの母親と清太の再会シーン
- 火葬後にウジ虫がわく母親の描写
- 混同されやすい別作品のシーンもある
『うしろの正面だあれ』の機銃掃射シーンを「火垂るの墓」のカット版と思い込む例も散見。 - 視聴者の反応は賛否両論
- 「衝撃的すぎてトラウマになる」「二度と見たくない」という声
- 「史実を伝える重要な場面だから、ノーカットで観たい」という要望
- カットされる主な理由
- 視聴者(特に子ども)への配慮:残酷描写が強すぎる
- 放送枠の尺調整:CM挿入や編成都合で過激シーンを省略
- 放送局の方針変化:戦争描写のリアルさを抑える編集傾向
- 放送禁止ではなく編成判断
- 完全ノーカット回(2015年・2018年)も過去にあり
- 2025年8月15日の終戦記念日には約7年ぶりに地上波で放送が確定
「包帯の母とウジ虫」のシーンは、作品の悲惨さと反戦メッセージを象徴する重要なシーンです。
が、地上波では編成上の都合や視聴者配慮からカットされてきました。
今回は終戦80年の節目にあたる終戦日に、ぜひノーカットで『火垂るの墓』を味わって頂きたいところです。
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