スタジオジブリ『君たちはどう生きるか』に出てくる牧家は、戦時中にも関わらず中々豊かに暮らしていますよね。
父親も徴兵されません。
いったい、父親の職業は何で、どんな仕事をしているのでしょうかね。
モデルも気になります。
この記事では…
眞人の父親(牧勝一)の仕事や職業、モデルの他、プロフィール、時代背景などについてまとめています。
映画『君たちはどう生きるか』の時代背景とは
父親、牧勝一の仕事を知るにあたって、まずは時代背景を知りましょう。
『君たちはどう生きるか』の時代設定は、昭和18年(西暦1943年)。
太平洋戦争(1941~1945年)の真っ只中でした。
米の調達が難しくなった年で、眞人も大根飯を食べて「おいしくない」と呟いていましたね。
昭和18年とは、こんな年だったようです(タップで開閉)
- 戦局の悪化
- ガダルカナル島からの撤退(2月)やアッツ島の玉砕(5月)など、太平洋戦線で日本軍の劣勢が明らかになりました。
- 学徒出陣
- 中学生以上の学生が戦力不足を補うために動員されるようになり、多くの若者が学業を中断して戦場へ向かいました。
- 女子挺身隊の動員
- 女性も軍需工場などで動員されるようになり、戦時体制が強化されました。
- 食糧難の深刻化
- 物資不足から食糧の配給制が強化され、国民生活はますます困窮していきました。ビールも配給制となり、銘柄や商標が廃止され「麦酒」に統一されました。
- 敵性語の排斥
- 外来語の使用が制限され、「セーフ」が「よし」に、「ドーナツ」が「砂糖天麩羅(さとうてんぷら)」などと言い換えられました。
- 鳥取地震
- 9月に鳥取県を中心に大きな地震が発生し、甚大な被害が出ました。
- 文化・芸術
- 映画「無法松の一生」や「姿三四郎」が公開され、流行歌では「お使いは自転車に乗って」や「若鷲の歌」などが人々の間で歌われました。サン・テグジュペリの「星の王子さま」が刊行されたのもこの年です。
- 産業・経済
- 統制会社令や軍需会社法が公布され、国家による経済統制が強化されました。
映画『君たちはどう生きるか』父親(勝一)の仕事・職業とは
眞人の父親、牧勝一の職業、仕事内容はずばり、
軍需工場経営者
です。
牧勝一は青年実業家で、戦闘機の風防を製作していました。
風防って、こんなの⬇️

父親は、戦機のパーツを作って金儲けしていたということです。
だから父親は徴兵もされず、牧家は(あの時代にしては)裕福だったのですね。
得する人がいないと、争いは始まらないし、続けられないですね。
眞人の父親が軍需工場の経営者であると分かるシーンは、家にたくさんの風防が運び込まれるこのシーンの他にも、
「お陰で工場は大忙しだ。眞人、学校までダットサンでおくるぞ。車でのりつける転校生なんて、みんなびっくりするぞ」
映画『君たちはどう生きるか』(スタジオジブリ)
と父親が発言するシーンなどがあります。(当時日本の委任統治領だったサイパン島が陥落。夏子の「亡くなった方達かわいそう…」に対する返し)
この発言は、視聴者の反感を買いました。

ということで、眞人の父親、勝一の職業(仕事内容)は、軍需工場の経営で、工場長として、戦闘機の風防を製作していました。
『君たちはどう生きるか』父親(勝一)裏プロフィール
父親の年齢は37歳

牧勝一の年齢は、37歳です。
現代の感覚でいくと、若い!と思った人も多いのではないでしょうか。
父親は恐らく婿養子
夏子は町の有力者だそうです。
立派なお屋敷に住んでおり、10人のお手伝いさんもいます。(7人のばあやと、3人のじいや)
勝一は、この立派なお屋敷に移り住んできました。
このことから、勝一は婿養子と考えられます。
父親のモデルは宮崎勝次

眞人の父親は、宮崎駿監督の実の父親、勝次さんであることが、明かされています。
勝一(しょういち)と勝次(かつじ)。
名前を見ると、そういうことだったのかと、頷けます。
ふたりは仕事も同じ、端正な顔立ちで、外見や性格も似ていました。
勝次さんは、プレイボーイだったそうですが、家族思いでもあったそうです。
具体的には、
・子どもにご飯を作ってくれる
・妻が病気で入院した際には、毎日病院に通った
・最期は家で過ごしたいという妻の願いを極力叶えようとした
など。
宮崎航空機製作会社
宮崎勝次さんは、(宮崎駿監督から見て)祖父に声を掛けられ、『宮崎航空機製作会社』を設立。
宮崎航空機製作会社は、工場零式艦上戦闘機(通称零戦)の部品や風防を製作する会社でした。
勝次さんは、工場長を務めていました。
そういうわけで、宮崎家の父方の親戚には戦争に行った人間がいないということです。
実在したシーン
▼眞人の家に風防が運び込まれた、このシーン。

これは、宮崎駿少年が実際に見た光景が、再現されているとのこと。
家に風運び込まれた風防が虹色に輝くのを見て、まるで宇宙から来た光の繭のように感じられたそうですよ。
恐ろしくて、美しかったと。
さすが豊かな感受性です。
このシーンを担当したアニメーターの高屋法子さんは、これを再現したいと宮崎駿監督に言われて、苦労されたようです。
『君たちはどう生きるか』その他登場人物の実在モデルもチェック!


参考書籍:
大泉実成著『宮崎駿の原点: 母と子の物語』潮出版社 (2002/10/1)
スタジオジブリ『ジ・アート・オブ 君たちはどう生きるか』徳間書店 (2023/11/1)
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