当記事では、スタジオジブリ『君たちはどう生きるか』に出てくる父親・勝一(しょういち)について、彼はなぜ、
●「気持ち悪い、やばい、クズ」などと視聴者にいわれるのか
●義理の妹・夏子と再婚したのか
●夏子と再婚前に浮気していたというのは、事実なのか
などということについて考察し、まとめてみました。
なぜ父親(勝一)は「気持ち悪い・やばい」とクズ呼ばわりされるのか【君たちはどう生きるか】

リサーチした結果・・・
ダントツで視聴者の顰蹙(ひんしゅく)を買っていたのが、
元妻が亡くなってすぐにその妹(しかも顔そっくり)と再婚し、妊娠させたこと
でした。
他にも、父親の戦争で金儲けしていることや、息子の気持ちを確認してあげられないところなどが不評でした。
まとめると、こんな感じ。▼
- 父親と妻の妹との再婚は許せない!
- 後妻と再婚して子どもできるまでが早すぎるんだけど、元々浮気でもしてたの?
- 金のことだけ考えて軍事産業に加担している享楽的な父親。
- 息子の気持ち確認もしないで、学校行くのやめさせるなよ。
- 金にものをいわせて解決させようとすなw

SNSの反応
君たちはどう生きるか、見始めて数十分で父親の気持ち悪さにドン引きして以降、記憶がない。女性はみんな気持ち悪いと思うと思ったけど、観に行った人が周りに居なくて感想を語り合うこと出来てないな
https://x.com/Riii_ko/status/1744367108778062006
『君たちはどう生きるか』 嫌いだったところ。 亡くなった妻の妹を後妻にするのは、気持ち悪い。 しかも、顔がそっくりってゾッとする。 (当時ままあったことだというのは知ってる) その事も含め、マチズモを露わにする父親を、作中で全く糾弾するつもりがないらしいところは、イヤな感じ。
https://x.com/hinakahozini/status/1918261612185829757
君たちはどう生きるか。これ見た感想は、一回見ただけじゃよくわからないのと、父親がよく考えてみれば一番やばいってことこの二つでした…
https://x.com/2Dg78w/status/1688219462850564096
君たちはどう生きるかの感想会でもしようやと友人と集まったらば、「父親クズすぎる!信じられない!」と父親が母親の妹と結婚していたことにしか触れていなくて、当時の歴史や文化について知識がないと作品をまともに観ることもできないんだなあとしみじみ実感したということがあってなあ
https://x.com/jdabc___hvn/status/1689146553477578752
個人的に父親に受けた印象は、権威でしたね。
まひとが父親に自分の気持ちを言えない様子を見て、
現代でも家庭によるとは思いますが、当時の家庭内における父親の立場というものは、強かったのだろうと思いました。
父親(勝一)は本当に、気持ち悪い、やばいクズなのか?
なるほど、こうして父親の「気持ち悪い」理由を並べてみると、彼は、本当にクズで、やばい奴のように思えます。
しかし実は、これには誤解もありました。
例えば当時、亡き伴侶の妹弟を後妻、後夫として迎え入れることは、ごく普通のことでした。
現代ではまず考えられませんから、驚きです。
父親の気持ち悪いのは、こういった当時の時代背景を知らない我々に向けられた、意図的な演出であったとも考えられるわけです。
なぜ父親(勝一)は妻の妹(夏子)と再婚した?【君たちはどう生きるか】

父親と妻の妹、夏子が再婚した理由。
それは、当時の時代背景によるものだった。
これについては、宮崎駿監督も関連書籍にて「当時はよくあった」と証言しています。
ネットユーザーの証言も
君たちはどう生きるかの感想で父親の再婚が気持ち悪いみたいなのちらほら見かけたけど、ワイの祖父母は戦時中そんな感じで再婚してる。当時は家>個人なので合理的な選択でそうするだけなので、ちゃんとした家ならなおさら親戚とか近所の人とか近い人と早急に再婚するのが当たり前だった模様。
https://x.com/eri15569933/status/1918680553345151191
現代では“気持ち悪い”、有り得ないような行為も、当時にしてみれば、ごく普通のことだったというわけですね。
父親と妻の妹(夏子)の再婚は普通のこと!?当時の時代背景とは
当時の結婚といえば、個人の為にするものではなく、家の為にするものでした。
家と家とが結婚するイメージですね。
つまり、父親と夏子がなぜ結婚したかというと、両家の後継ぎを切らさない為(眞人を取られない為)だったと考えられます。
ついでにいうと、若い男性は当時兵隊に取られているので貴重だったという時代背景もあります。
勝一は、軍需産業に携わっていた為、兵隊に取られず済んでいました。
牧家が周囲に比べて裕福なのも、それが理由でした。
当時よくあったのが、夫を戦地で亡くした妻が、その弟と再婚する、というパターンだったそうで…
しかし亡くなったと思っていた夫が実は生きていて、戦地から帰ってきた時に、どうしよう?ということもまあ、あったようです。
(どうしたのでしょう…)

小まとめ
以上、なぜ父親と妻の妹が再婚したのか解説して参りました。
当時の結婚といえば、個人間で行われるものではなく、家と家との問題でした。
ですから、父親が亡き妻の妹である夏子と再婚しても、それは普通のこことだった、ということですね。
こういった当時の時代背景を知ると、気持ち悪いと思っていた父親のことも、だんだんと許せる気になってきませんか。
とはいっても、当時の人と現代の人では、感覚がまるで違います。
ですから、父親のことを変わらず気持ち悪いと感じていたとしても、致し方ない話です。
ですが、父親を「気持ち悪い」と感じられるのは、現代では自由に恋愛して自由に結婚することが許されているからこそ。
幸せなことだともいえますね。
父親(勝一)は夏子と再婚する前に浮気・不倫していた?【君たちはどう生きるか】
父親は、昭和18年に妻を亡くし、その翌年には、後妻となる義理の妹・夏子との間に早々と子をもうけています。

これではさすがにスパンが短すぎる…
なんて薄情な奴なんだと、正気と浮気を疑ってしまいますよね。
ですが結論からいうと、父親と夏子が浮気・不倫関係にあったかどうかは、
それはどちらともいえない。
どちらとも言い切れません。
ネット情報によれば、現代では、結婚相手と死別した場合、再婚まで最低1年くらいは期間をあける、というのが一般常識のようですね。
しかし当時にしてみれば、勝一が夏子の間にすぐ子をもうけたことは、褒められたことだったのではないかと思います。
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若者が、国の為に命を落としていったような時代でした。
現代も少子化で、少なからず似た傾向があるのでは。
これを何倍も何倍も激しくした感じだったのではないでしょうか。
小まとめ
以上をまとめると、父親(勝一)と夏子が浮気・不倫していたかどうかは、分からない、ということですね。
現代で勝一と同じことをすれば、間違いなく周囲より白い目で見られることと思いますが…
しかし当時にしてみれば、それは普通のことで、よくある話でした。
当時の時代背景を知っていく内に、いよいよ、勝一を一概に「気持ち悪い」とはいえなくなってきたようですね。
生命に危険が迫ると、本能的に子孫を残したくなるものなのだといいますしね。
不可能ではありますが、実際にあの時代を生きてみないと、なんともいえません。
その他、父親がやばいといわれるシーンまとめ【君たちはどう生きるか】
父親(勝一)が夏子と再婚したのは良いとしても。
他にも、父親がやばいといわれるシーンがあります。
その各シーンを象徴するセリフと共に、振り返ってみましょう。
父親は、本当にやばい奴?
①「お陰で工場は大忙しだ」
朝の牧家に、当時日本の委任統治領だったサイパン島が陥落したという知らせが入ります。
すると夏子は「亡くなった方達かわいそう…」。
これに対し父親は「お陰で工場は大忙しだ」と返します。
「お陰でこっちは儲かるよ」とも捉えられる、父親のこの発言。
一見やばい奴です。
(父親は、軍需工場を営んでいます)
しかし…
この発言は一方で、家族を元気付ける為だったと受け取ることもできますよね。
夏子の「亡くなった方達かわいそう」という発言は至極もっともです。
それは恐らく、勝一も感じた感情なのではないでしょうか。
しかしこの場でそれを口にしても、誰を慰めることもできません。
そこで勝一は、夏子を元気付けようと、あるいは自分を奮い立たせようとして、あえて「お陰でこっちは儲かるよ」と発言したのかもしれないのです。
勝一はこれから働きに出掛けるところだったので、士気を挙げたかったのかもしれませんね。
勝一は、家族を守る為に必死だったはず。
②「車で乗り付ける転校生なんて、みんなびっくりするぞ」


父親(勝一)は、ダットサンでまひとを学校まで送るという、奇行に出ましたね。
勝一は軍需工場を営んでいたので、徴兵されずに済んでいました。
また、その為に、牧家は裕福な暮らしができました。
それは致し方ないにしても、車で学校に乗り付けないくらいの配慮は、欲しかったところですよね。
まひとは案の定、同級生の反感を買ってしまいクラスで浮いた存在になってしまいました。
無論、父親がダットサンで学校に乗り付けさえしていなければ、まひともクラスにうまく馴染めていた、とは一概にいえません。
が、それでも状況はいくらかマシだったように思えて仕方ありません。
しかし…
やっかいなことに(?)、父親に悪気はありませんでした。
父親にとってそれは、良かれと思ってのことだったのです。
なぜそれを良いと思ったのか?
それは、父親には、お国に貢献しているのだという、自負があったからなのかもしれません。
③「心配するな。学校なんか行かなくていい」





まひとは本当は学校に行きたかったかもしれないじゃん…



まひとの意見聞かないのやばい
と視聴者の反感を買ったこのシーン。
「どうせロクに授業なんかしてないんだ、勤労奉仕ばかりさ」
『君たちはどう生きるか』勝一のセリフ(スタジオジブリ)
しかし…
自傷行為までしたまひとに、果たして、学校に行きたい意志が、どれ程あったのか。
転校初日に集団暴力を受けて、次の日も学校に行きたいと思う小学生が、果たしてどれだけいるか。
大人が職場で同じ目に遭ったとして、次の日にも職場に行きたいと思う人は、恐らくひとりもいないはず。
集団リンチに遭って帰ってきた後の家族のセリフが、
「心配しなくていい。もうあんなところは行かなくていい。うちの大事な家族をこんな目に合わせて許せないよ。犯人は必ず見つけてやる」
だったらすごくうれしいと思うのですが、どうでしょうか。
まひとからしてみれば、勝一のこの、やばい?行動は、神対応だったかもしれません。
④「300円寄付してきたぞ。校長の奴、びっくりしていた」



金で解決しようとするな
父親(勝一)が学校に寄付した300円の価値はいくら?【君たちはどう生きるか】


およそ35万
父親(勝一)が学校に寄付したという300円は、現代の価値に換算すると、35万くらいの価値があったようです。
参照:レファランス協同データベース(https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?page=ref_view&id=1000333310)
まとめ:君たちはどう生きるか|父親が気持ち悪いwなぜ再婚?浮気もしてたやばい奴?
以上、父親(勝一)が「気持ち悪い・クズ・やばい」と言われる理由についてまとめて参りました。
が、いかがでしたか。
こうして振り返ってみると、父親はいう程やばい奴ではない気がしました。
勝一は確かに一般的にいわれるような「いい人」ではないです。が…
あの時代、妻の妹と再婚したのも、後妻との間に子をもうけるのが早かったのも、当時の時代背景あってのこと。
勝一は親バカで、家族愛があって、あの時代に家族を守る為に一生懸命。
人間臭く、憎めない男です。
一見“やばい”父親像の裏には、戦時下に家族を守ろうと必死だった、人情味あふれる一面が垣間見られました。
コメント
コメント一覧 (1件)
まあ、「そう映るよう意図して作られた人物」なのだから、観た人にその通り受け取られたなら大成功だろ勝一
勝一より青サギの気持ち悪さよ
お前特撮で吹き替え経験してる筈だろ何でそんな下手くそなんだ