当記事では、
ジブリ映画『君たちはどう生きるか』に出てくる父親・勝一(しょういち)が、
・「気持ち悪い、やばい、クズ」と嫌われる理由
・なぜ義理の妹と再婚したのか?
・再婚前に浮気してた疑惑は事実?
などということについて考察し、まとめてみました。
父親勝一が気持ち悪い・クズ・やばいと嫌われる理由(君たちはどう生きるか)

眞人(まひと)の父親勝一が、「気持ち悪い・クズ・やばい」と嫌われている理由です。
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- 妻の妹と再婚はあり得ない。
- 妻の妹と再婚・身ごもるまで早すぎるけど、元々浮気してた?
- 学校にダットサンで乗り付けるなよ。
- 息子の気持ち確認もしないで学校行くのやめさせるなよ。
- 戦争で金儲け、サイテー。

なるほど、こうして並べてみると、父親(勝一)は、本当にクズで、やばい奴ですよね。
父親勝一はなぜ妻の妹夏子と再婚した?(君たちはどう生きるか)

ツッコミどころの多い父親(勝一)ですが、中でも顰蹙を買っていたのは、妻ヒサコの妹、夏子と再婚したことでしょうか?
しかし当時の感覚でいうと、夫が妻の亡き後に、その妹と再婚するというのは、よくある話だったのだそうです。(男女逆パターンも然り)
つまり、
父親(勝一)が夏子と再婚した理由は、時代背景によるものだった。
このことは、宮崎駿監督も証言していますから、疑いの余地がありません。
つまり、
父親(勝一)が夏子と再婚したから気持ち悪い!というのは、誤解だった。
のですね。
とはいっても、当時の人と現代の人では、感覚がまるで違います。
ですから、父親(勝一)のことを気持ち悪いと感じてしまうのも、ムリのない話です。
また、そう感じられるのは、今は自由に恋愛し、結婚できるから。幸せだということです。
当時は結婚といえば、個人の為のものではなく、家と家とが結婚するイメージでした。
父親(勝一)と夏子は、両家の後継ぎを切らさない為(眞人を取られない為)に結婚したと考えられます。
また、若い男性は兵隊に取られているので貴重でした。
(勝一は軍需産業に携わっていた)
当時よくあったのは、夫を戦地で亡くした妻が、その弟と再婚する、というパターン。
しかし亡くなったと思っていた夫が実は生きていて、戦地から帰ってきた時に、どうしよう?ということもまあ、あったようです。
(どうしたのでしょう…)

当時の時代背景を知ると、父親勝一が夏子と再婚した理由も、だんだんと理解できませんか。
つまりまとめると、父親(勝一)が夏子と再婚したことは、当時にしてみればごく普通のことだった、ということです。
父親勝一は夏子と再婚する前に浮気していた?(君たちはどう生きるか)
父親(勝一)は、昭和18年に妻を亡くし、その翌年には、夏子との間に子どもをもうけています。

これではさすがにスパンが短すぎる…
なんて薄情な奴なんだと、正気と浮気を疑ってしまいますよね。
父親(勝一)と夏子が実際に浮気していたのかどうかは、
それはどちらともいえない。
どちらとも言い切れません。
しかし夏子との間に子どもをもうけるのが早かった点においては、当時の感覚でいけば良いことだったのだと思います。
現在同じことをすれは間違いなく白い目で見られると思いますが…
若者が、国の為に命を落としていったような時代でした。
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生命に危険が迫ると、本能的に子孫を残したくなるものなのだといいますしね。
まとめると、父親(勝一)と夏子が浮気していたかどうか分かりません。
しかし子どもを授かるのが早かった点においては、実際にあの時代を生きてみないと「気持ち悪い」とはいえないと考えさせられますよね。
その他、父親勝一が嫌われる理由と、本当にやばい奴だったのか(君たちはどう生きるか)
父親(勝一)が夏子と再婚したのは良いとして、
他にも父親がやばいといわれているシーンがあります。
しかし一見“やばい”父親像の裏には、戦時下に家族を守ろうと必死だった人情味あふれる一面が垣間見られます。
各シーンを象徴する父親のセリフと共に振り返ってみましょう。
①「お陰で工場は大忙しだ」
父親(勝一)が営む工場は、戦機の風防を製作しています。
サイパン島陥落で(当時は日本の委任統治領だった)、夏子が、「亡くなった方達かわいそう…」と言うと、父親は、「お陰で工場は大忙しだ」と返しました。
「お陰でこっちは儲かるよ」とも捉えられる発言です。
だとしたらば、本当にやばい奴です。
しかし…
この発言は一方で、家族を元気付ける為だったとも受け取れます。
夏子の「亡くなった方達がかわいそう」だという感情は至極もっともで、恐らくそれは、勝一も眞人も感じるところでしょう。
しかしこの場でそれを口にしても、誰の慰めにもなりません。
勝一は夏子を元気付けようと、あえて「お陰でこっちは儲かるよ」と発言したのかもしれません。
あるいは、自分がこれから働きに出掛けるところだったので、士気を挙げる為に言ったのかもしれません。
まだ37歳の父親は、家族を守る為に必死だったはずです。
②「車で乗り付ける転校生なんて、みんなびっくりするぞ」


父親(勝一)はダットサンで眞人を学校まで送りました。
徴兵されず、軍需工場を営んでいることで、一家が裕福な暮らしをしていることは仕方ないにしても、車で学校に乗り付けないという配慮は欲しかったところ。
まひとは学校に行きたくなかったようですが、案の定、同級生の反感を買ってしまい、学校で浮いた存在になってしまいました。
まひとがダットサンで乗り付けさえしていなければ、うまく馴染めていたとはいえませんが、
それでも、状況はいくらかマシだったように思えます。
しかし…
いえることは、父親に悪気はなく、良かれと思っての行動だったということです。
なぜ良いと思ったのかというと…。
牧家は国家に貢献しているのだという、自負があった為でしょうか。
③「心配するな。学校なんか行かなくていい」


「どうせロクに授業なんかしてないんだ、勤労奉仕ばかりさ」
『君たちはどう生きるか』勝一のセリフ(スタジオジブリ)



まひとは本当は学校に行きたかったかもしれないじゃん…



まひとの意見聞かないのやばい
と、視聴者の反感を買ったのが、このシーン(セリフ)。
しかし…
自傷行為までした眞人に、学校に行きたい意志がどれ程あったのだろうかと思います。
転校初日に集団暴力を受けて、次の日も学校に行きたいと思う小学生が、果たしてどれだけいるでしょうか。
大人が職場で同じ目に遭ったとして、次の日に職場に行きたいと思う人も恐らくいないはず。
集団リンチ(?)に遭って帰ってきた後の家族のセリフが、
「心配しなくていい。もうあんなところは行かなくていい。うちの大事な家族をこんな目に合わせて許せないよ。犯人は必ず見つけてやる」
だったらすごくうれしいと思うのです。
まひとからしてみれば、勝一のこの行動は神対応だったかもしれません。
④「300円寄付してきたぞ。校長の奴、びっくりしていた」



金で解決しようとするな
父親勝一が学校に寄付した300円の価値はいくら?(君たちはどう生きるか)


およそ35万
父親(勝一)が学校に寄付したという300円は、現代の価値に換算すると、35万くらいの価値があったようです。
参照:レファランス協同データベース(https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?page=ref_view&id=1000333310)
あとがき
以上、父親(勝一)が「気持ち悪い・クズ・やばい」と言われる理由についてまとめて参りました。どうでしたか。
こうして振り返ってみると、父親はいう程やばい奴ではない気がします。
勝一は確かに一般的にいわれるような「いい人」ではないです。が…
親バカで、家族愛があって、あの時代に家族を守る為に一生懸命でした。
勝一は、人間臭く、憎めない男です。
コメント
コメント一覧 (1件)
まあ、「そう映るよう意図して作られた人物」なのだから、観た人にその通り受け取られたなら大成功だろ勝一
勝一より青サギの気持ち悪さよ
お前特撮で吹き替え経験してる筈だろ何でそんな下手くそなんだ