清太と節子は、なぜ成仏できないのでしょうか。
節子の呪いとは?
火垂るの墓|清太と節子は成仏できていない
スタジオジブリ『火垂るの墓』の主役である清太と節子は、
戦争で満足に食べることができず、
栄養失調になった後に亡くなってしまいました。
それから清太と節子は、現代になるまで依然成仏することができていません。
それは、
ラストシーンで清太と節子の眼前に広がる高層ビルから分かることです。
清太と節子が亡くなったのが、終戦の年の昭和20年(西暦1945年)ですから、彼らは100年近く成仏できていないことになります。
映画公開年が昭和63年(西暦1988年)ですので、そこから遡ると、43年ですね。
辛いですね。
清太と節子がこんなにも長い間成仏することができていないのは、なぜなのでしょうか。
節子の呪いのせい・・・?
火垂るの墓|清太と節子が成仏できないのはなぜ
清太が成仏できない理由は
節子に対する後悔の念
清太を今世に縛り付けているもの。
それは、節子に対する後悔の念だと思います。
なぜなら亡霊になった清太が、
映画の中で最も感情的になっていたシーンは、
節子が、母親の着物を売らないで、と泣き叫んでいたシーンだったからです。
清太は、節子の悲しい叫びはとても聞いていられないというように、ぎゅっと、目をつぶり、耳を塞いでいました。
清太の亡霊が現れたシーン▼
①冒頭シーンラストシーン
②清太と節子が親戚のおばさんの家に訪れたシーン
③節子が、母親の着物を売らないで、と泣きじゃくっていたシーン
④清太が節子に横穴で暮らそうかと提案したシーン
清太は・・・
親戚のおばさんの家など、行かなければ良かった。
そう思うと同時に、親戚のおばさんの家から出ていかなければ良かった。
節子があそこまで悲しんでいたのに、母親の形見の着物をあそこで手放すのではなかった。
と後悔して、その場に訪れていたのかもしれないですね。
最初から親戚のおばさんなど頼りにせず、
米一1斗の価値がある母親の形見の着物を持って節子と横穴で暮らしていれば。
節子は、戦後まで生きながらえることができたかもしれません。
瓶一杯の梅干しもありました。
→あるいは、親戚のおばさんにどんなに辛く当たられようが、出ていかなければ、しんどくとも、恐らくは命まで落とすことは無かったでしょう。
後悔は本当に辛いですよね。
大きな目で見れば、節子が亡くなってしまったのは、戦争のせいです。
しかし節子の命は、決して清太が守れない命ではなかったように思われます。
そして清太自身も、そのように感じているように見えます。
亡霊の清太から伝わってくるものは、悲しみや苦しみばかりで、他者や戦争に対する憎しみのようなものは、伝わってきません。
それは、当時の清太にできることは、戦争を止めることや始めないことではなく、節子の命を守ることだったからではないでしょうか。
清太が、途中から町が空襲にあうと喜んでいた、というのもあります。
大切な人を死なせてしまうことは何より辛いことですが、
それと同じくらい、大切なひとを悲しませてしまったという後悔は、悔やんでも、悔やみきれないものですよね。
命があれば、その分、喜ばしてやって、楽になることもできそうなものですが…
しかし節子が生き返ることはなければ、やり直すことも当然できません。
“しかし、できることなら、やり直したい”
そんな強い思いが、清太をこの世に縛り付けていて、
清太の亡霊は悔いの強く残るシーンに姿を現しては、節子を喜ばせて安心する為に、節子にドロップをやり続けている。
清太はそれを、100年繰り返し続けているのではないでしょうか。
節子が成仏できない理由とは
兄をずっと探しているから
節子が成仏できない理由は、
・自分が亡くなったことに気付けていない
・兄が心配
であることの理由から、
兄をずっと探し続けているからのように見えます。
これらは、節子の生前と何も変わらないことですね。
節子は亡霊として現れると、すぐに清太を捜していましたし、清太とずっと一緒にいます。
清太は節子の呪いで成仏できないのか
決して節子の呪いではない(と思う)
節子は兄が大好きで、最後は兄にスイカを食べさせてもらって、「おおきに」と言葉をかけて亡くなっています。
節子は亡霊の姿でも兄を慕っており、ラストシーンでは、兄の膝の上で安心した様子で眠りに落ちます。
節子には実は裏の顔があって、腹の底ではどす黒いことを考えているなど、到底思えませんよね。
清太が成仏できないのは節子の呪いだといわれるのはなぜ
節子が幼くピュアで弱いから
節子が「ワガママ」だと一部の視聴者から不評だから
節子は幼くピュアで弱い
節子は4歳。
清太14歳です。
どちらも子供であることに違いはありませんが、それにしても節子は幼いですよね。
節子に何かを決定することは難しく、節子の命運は全て清太の判断に掛かっていたといっても、過言ではありません。
しかし当然、そうなることを清太が自ら望んだわけではありません。
兄だから必然的に妹の責任を負わされることになっただけです。
そして清太は節子の命を守り抜くことができませんでした。
その後悔や罪悪感から、清太は節子とずっと成仏することができずにいるようです。
節子がピュアでかわいくて、お兄ちゃん子だったところが、また罪悪感にかられますよね。
これを端からみた時に、「節子の呪い」だと言いたくなる気持ちも分かるというものです。
清太は、「節子…」と呟いて亡くなっていったことからも分かるように、
死んだのが自分だけであれば、きっと成仏していたでしょうから。
節子がワガママだと一部の視聴者から不評だから
節子を「かわいい」と感じる視聴者がほとんどかと思います。
が、中には、節子を見て「わがまま」だと感じイライラするという視聴者もいるようです。
視聴者みんなにハマるというのは、難しいものがありますよね。
節子のこんなところがワガママでイライラ
泣いていたかといえば、ドロップ見せただけでご機嫌になる。
母親の着物を白米に交換するのに「売らんといて!」と泣いていたかと思えば、
交換した白米をご機嫌におかわりする。
兄も疲れているのにおんぶをねだる。
力を入れて捕まえた為につぶれてしまった蛍を汚いもの扱いする。
後に「蛍はなんですぐ死んでしまうん?」
にいちゃんにいちゃんうるさい。
すぐ泣く。
節子にイライラしていたら、
清太が成仏できないのを、「節子の呪い」だと言いたくなるのは、尚理解できます。
個人的には、健気でかわいいと、そしてかわいそうだと感じます。
あれだけ素直でお兄ちゃんに懐いていたら、
清太もかわいくて仕方なかったのだと思いますし、
生きがいだったでしょう。
節子が、母親が亡くなったことを、親戚のおばさんからきっと心無い言葉で知らされて、夜悪夢を見て泣き、それでまた親戚のおばさんに罵られていたことを思うと、本当にかわいそうでなりません。
それこそ親戚のおばさんを腹立たしく思いますが、
親戚のおばさんもまた戦争の被害者であり、
かわいそうなのですよね。
国民をコマにするゲームは、
本当に繰り返してはいけませんね。
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